分譲マンションは、区分所有建物という特殊な形態であり、また、共同生活の場でありますので、色々と分からないことが多いのが実情です。また、管理組合様や区分所有者様からの相談内容も多種多様であります。「よくあるご質問」をQ&A方式にまとめましたので、ご参照ください。
A1:管理組合には違法駐車に対する取り締り権限がないため、解決策に絶対的なものはありません。よって、管理組合として「自衛策」を講じることが大切です。一般的な「自衛策」をご紹介します。
◯違法駐車されやすい場所に縁石やカラーコーン等を設置し、物理的に駐車できないようにする。
◯通り抜けできる道路は、違法駐車やいたずらが多いため、出入り口付近に告知看板を設置する。物理的な対策として、チェーンゲートなどの設置により一方の出口を封鎖する。
◯規制看板や注意看板を適切な箇所に設置する。
◯駐車禁止文字やゼブラゾーンを路面に標示する。
◯駐車場内やその周辺を街灯などで明るくする。
◯駐車場内に契約者の表示プレート(号室プレートなど)を取り付ける。
◯当番制を設け、敷地内や駐車場を定期的に巡回し、違法駐車をチェックする。
◯駐車場の周囲にフェンスなどを張り巡らせ、駐車場の出入り口に施錠できる扉やチェーンを設置する。
◯違反車両のワイパーに警告票をはさんで注意を促し、車両ナンバーを控える。
※警告票をのり付けしますと器物損壊罪で訴えられることがあります。
※警告票は注意を促すものと、強い調子のもの2種類を用意し、使い分けするとよいで
しょう。
◯来客には、連絡先、駐車時間を記入できる駐車許可書を発行し、違反車両と区別する。
◯違法駐車を繰り返す悪質者に対しては、違法車両を写真で公開する。また、部外者の場合は、警察に摘発依頼を行う。
※情報公開(氏名公表を含む)は、効果は期待できますが、事前に組合員の合意を取り、慎重に行う必要があります。
A2:マンションの管理組合は、マンションの共用部分を管理しています。したがって、共用部分の管理に必要な保険に入っておくことが必要です。大きく分けて建物、設備の共用部分の損害を補償する「物」保険と、管理組合が法律上の賠償責任を負った場合の損害を補償する「賠償責任」 保険の2つが挙げられます。これらの保険に加入しておくことは、最低限必要であると言えるでしょう。※例えば、共用部分の給排水管からの水漏れにより専有部分に損害が発生した場合にマンション管理組合が負う法律上の損害賠償責任を補償します。
●マンション共用部分の損害保険の内容(一般例)
※引受保険会社により補償内容は異なります。
基本契約 | 火災、落雷、破裂・爆発、建物外部からの物体の落下・ 飛来・衝突、騒擾・労働争議、風災・雹災・雪災、盗難 による盗取・損傷・汚損などによるマンション共用部分の損害を補償します。 ※保険会社により若干異なります。 |
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破損・汚損補償 | 破損・汚損などによるマンション共用部分の損害を補償します。 | ||||||||||
水災 | 台風、暴風雨、豪雨などによる洪水・高潮・土砂崩れなどによるマンション共用部分の損害を補償します。 | ||||||||||
水濡れ補償 | 給排水設備に生じた事故などによるマンション共用部分の水濡れ損害を補償します。 | ||||||||||
水濡れ原因調査 | 漏水事故が発生した場合に、その事故の原因を調査するために支出した費用を補償します。 ※契約年度ごとに100万円(保険会社により異なる) が限度となります。 |
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施設賠償 | マンション共用部分の欠陥や管理業務上の過失による他人への法律上の賠償事故を補償します。 | ||||||||||
個人賠償包括 | マンションの居住者などの日常生活にかかわる他人への様々な法律上の賠償事故を補償します。 | ||||||||||
地震保険 | 地震・噴火またはこれによる津波(以下「地震等」といいます。)を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害を補償します。 ※基本契約の保険金額の50%が地震保険金額の上限となります。 被害の程度によって全損・大半損・小半損・一部損の4つの区分に分けられ、以下の補償内容となります。
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●個人賠償責任保険について
個人賠償責任保険は、第三者に対する法律上の損害賠償責任を補償するものであり、マンションの共同生活上でよくありがちなトラブル(階下への漏水、バルコニーから誤って物を落として敷地内の車両等に傷を付けたなど)の補償をカバーします。この個人賠償責任保険は、管理組合で一括して加入することができるため、加入している管理組合も多く、是非、付保することをお薦めします。
この保険の注意点として、管理組合で一括付保している場合、他の保険に個人賠償責任保険を付保すると補償が重複し、保険料が無駄になることがあります。ただし、保険金額は全戸一律であり、それ以上の保険金額を設定したい場合は、別の保険にて個別対応を要します。
このホームページ等は概要を説明したものです。ご契約にあたっては必ず各社商品パンフレットおよび「重要事項のご説明 契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」をあわせてご覧ください。また、詳しくは「ご契約のしおり(普通保険約款・特約)」をご用意していますので、取扱代理店または引受保険会社までご請求ください。ご不明な点につきましては、取扱代理店または引受保険会社にお問い合わせください。
【引受保険会社】
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
(2018年1月承認)B-10447
損害保険ジャパン株式会社
A3:1.天井、床、天井などについて
壁、床、天井などの共用部分と専有部分の境界については、「共用部分説・ 内壁説」、「専有部分説・壁心説」、「折衷説・上塗説」の3つの説があります。
(1)共用部分説・内壁説
この説は、壁、床、天井などの境界部分すべて共用部分であり、境界部分に よって取り囲まれた空間部分のみが専有部分とする説です。なお、この説によると、専有部分は壁、床、天井などに囲まれた空間だけということになって、専有部分についての所有権を認めることと矛盾しますし、区分所有者は、内装工事もできないことになって実情に合致しません。
(2)専有部分説・壁心説
この説は、境界部分は共用部分でなく、その厚さの中央までが専有部分に含 まれるという説です。なお、この説によると、壁の中心まで各区分所有者が 自由に変更を加えることができることになって、建物の維持管理の観点から 適当ではありません。
(3)折衷説・上塗り説
この説は、境界部分のうち躯体部分は共用部分であるが、上塗り部分など躯
体部分以外の部分は専有部分の範囲に含まれるという考え方です。この説に
よると、上塗り部分は専有部分ですから、たとえば境界壁の壁紙の張り替え
が可能になるなど区分所有者相互間で、建物の維持管理する関係において、
この説が相当であります。なお、マンション標準管理規約は、この折衷説・
上塗説を採用しています(マンション標準管理規約第7条第2項第1号参照)
2.窓ガラス、玄関扉などについて
窓ガラス、玄関扉は、建物の外観保全の観点から利用制限を付すべき建物の部分と考えます(例えば玄関扉の色を勝手に塗り変えたり、窓ガラスに広告をだしたりすると美観が損なわれるので、それらの行為を禁止する必要がある。)その観点から、マンション標準管理規約では、利用制限を付すべき建物の部分(および複数の住戸によって利用される建物の部分)は共用部分としています。
3.配管、配線について
配管、配線の設備に関する専有部分と共用部分の区分についても説の分かれ るところですが、その物の性質とか、設置目的によって判断するほかありま せん。各専有部分のためにのみ存在する枝管・枝線は、本管、本線の分岐点 あるいは専有メーカーがある場合にはそのメーカーまでを共用部分とし、専 有部分内の配管・配線は専有部分に属することになると解せます。なお、マ ンション標準管理規約では、配管・配線の設備については、専有部分の専用 に供されるもので、共用部分にある部分以外のものを専有部分としますが、 「専有部分の専用に供される」かは、設備機能が各住戸等の専用のものであ るか、共用のものであるかにより決定し、具体的には配管・配線の本管、本 線は共用部分であり、枝管・枝線は専有部分と考えられます(ただし、枝管 ・枝線であっても共用部分内にあるものは共用部分となります。)
通常、共用部分と専有部分の境界については、マンション毎の管理規約で規 定されています。規定が無い場合は、マンション標準管理規約(国土交通省 策定)を参考とし、管理規約に追加することをお薦めします。
A4:分譲マンションには「区分所有法」という法律が適用されます。マンションの憲法とも言われ、その法律が管理組合運営の基本ルールとなります。また、その基本ルールに従ってマンション毎に管理規約が設けられています。
区分所有法では、特定の行為に関し、管理規約で別段のルールを設けることができます。総会の成立要件や普通決議の要件もその一部の行為に該当します。管理規約の内容は、マンション毎に異なるため、ここでは、マンション標準管理規約に準じて説明します。
総会の成立要件について
マンション標準管理規約では、総会の成立要件を「議決権総数の半数を有す る組合員が出席しなければならない。」と定めています。
例) 総戸数30戸、1住戸に対して1議決権の場合
総会成立要件 ⇒ 議決権総数の半数以上となりますので、15戸で総会は成立することになります。
※代理人、欠席委任状、書面による議決権行使も出席者とみなされます。
※区分所有法では、この総会の成立要件については特に定められていません。
普通決議の要件について
マンション標準管理規約では、「出席組合員の議決権の過半数で決する。」と定めています。
例) 総戸数30戸、1住戸に対して1議決権の場合
普通決議の要件 ⇒ 出席組合員の議決権の過半数(半数を超える数)となりますので、仮に出席組合員が16名の場合、9名の同意が得られれば、決議されることになります。
※区分所有法では、「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。」と定めています。
□主な普通決議事項には、以下の内容があります。
・収支決算報告、事業報告の承認
・予算、事業計画の承認
・理事、監事の選任または解任
・管理費、修繕積立金等の金額の変更
・管理委託契約の更新、変更(管理会社の変更を含む)
特別決議の要件について
マンション標準管理規約では「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上(建替えの場合は5分の4)で決する。」と定めています。 特に重要な事案については、普通決議を用いず、厳しい決議要件としています。
例) 総戸数30戸、1住戸に対して1議決権の場合
特別決議の要件 ⇒ 組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上(建替えの場合を除く)となりますので、23戸の同意が得られれば、決議されることになります。
※区分所有法では、普通決議が管理規約で決議要件を自由で変えることができるのに対して特別決議は規定と異なる定めをすることができません。よって、マンション標準管理規約も区分所有法と同じ規定となっています。